迷宮の賢者

迷宮の賢者


「やたっ! とうとう藩王さんに麻雀で勝てる人が来た……!」

 〜とある藩国民(当人の希望により匿名)の魂の叫び〜

暖かな家庭のおまけ漫画参照


 後ほねっこ男爵領と言えば、迷宮である。
 NW全体の存亡に関わるある人物を匿う為、ダンジョンエクスプローラー火足水極が心血を注いで作り上げたこの大迷宮に、
居を構える一人の人物がいる。
 白い髭に洒落たベレー帽、人好きのする態度に、飄々としたその物腰からはとても想像もできないが、
彼はNW屈指の大賢者である。
 世人は彼を、敬意を込めて迷宮の賢者と呼び習わす。

 彼がいつごろから後ほねっこ男爵領に滞在しているのかは定かではない。
 ある人が言うには、家族同士のつながりの強い暖かな国風が世に知られた頃だということだし、
またある人が言うには、藩王火足水極の敷く善政の噂が、彼をこの邦に引き寄せたのだという。
 
 ただ確かなのは、彼が絶大な能力を誇る魔術師であり、
そして、後ほねっこ男爵領への滞在を始めて以降、その力で文字通り影からこの邦を助けているという事実である。
 そう、迷宮の深奥、知る人もない影の底から。


「じじいって、ヒーローみたいだよね」

 遠慮のない瞳でそう言うのは、磯貝みらの。
 迷宮の賢者の住処を含め、後ほねっこ大迷宮に入り浸っていたら、
つい先日、とうとうみなしに迷宮巡視員が生えた少女である。
 迷宮の賢者は、この少女の活力を周囲に伝播させるような快活さを、
物怖じという言葉を百光年の彼方に置き忘れたような態度を、こよなく愛した。
 
「そうかい?」

 そうだよ、と勢い込んで頷くみらの。
 その態度を見て、年上の人間に無礼が過ぎると腹を立てる者もいるかもしれない。
 だが、迷宮の賢者は、鷹揚に笑い返す。
 年を経るごとに、経験を積むごとに、むやみに腹を立てることが減っているし、
何よりも、迷宮の賢者は、みらののその姿に、未来を透かし見ていた。
 未来が、過去に遠慮をしてどうすると、そう思っている。

「光剣とか持ってるんでしょ?
 えーと……ジェ、ジェ……」

「ジェダイ?」

「そうそれ。ジェダイみたいな」

 かの有名なファンファーレを口ずさむみらの。
 調子が出てきたのか、手拍子をしながら足を踏みならしてリズムをとる。
 その様子を、迷宮の賢者は穏やかに見守っている。
 記憶があやふやなのか、メロディーが所々で怪しく揺れながらも、どうにかこうにか最後まで歌いきった。
 ぱちぱちと拍手の音が部屋の中に響く。 

「懐かしいね。みらのが見たのは、新しいほうかな」

 みらのはううん、と首を横に振る。

「古い奴。ずっと前に、DVDで見たんだ」

 そう言って、みらのはふと、表情を曇らせた。
 その映画の内容が、SFアクション大作であったこと思い出したらしい。 

「あのさ、ヒーローみたいだからって、あんまり危ないことしちゃダメだからね。
 じじいはもう年なんだから。ええと、年寄りの、ひ、ひ……」

「冷や水?」

「そうそれ」

 心得たとても言うように大きく頷き、迷宮の賢者は朗らかな笑顔で、全世界も騙せそうな嘘を吐く。

「分かっているとも、みらの。危ない事なんてしないさ」

kenjasama.jpg



一般性能開示

L:迷宮の賢者 = {
 t:名称 = 迷宮の賢者(ACE)
 t:要点 = 白髭,ベレー帽,ジェダイみたいな
 t:周辺環境 = 迷宮

チェック用URL

・HQボーナスと適用範囲


文章:深夜、イラスト:いも子

  • 最終更新:2014-04-11 00:19:29

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード